茶吉庵プロジェクト竣工!
先日竣工させた恩智茶吉庵改修プロジェクトについてご紹介します
茶吉庵(ちゃきちあん)は大阪府八尾市恩智中町に建っている築250年の木綿問屋で、
かつてはこの地域の特産品である河内木綿を作っていた歴史ある建物です。
なんとプロジェクト中に国の重要文化財に指定されました!重要文化財に指定されました!(大事な事なので…(笑))
そんな歴史的価値の高い茶吉庵ですが、
時代の移り変わりとともに使われなくなり、急激に建物の老朽化が進んで
一時は取り壊しの話も持ち上がったそうです。
それを街の文化として残していくべく
「せっかくなら地域の方々に利用してもらいたい」というオーナー様の思いの元
「地域の憩いの場」と「若手アーティスト応援の場」としてリノベーションする
茶吉庵プロジェクトが始まりました。
プロジェクトにはたくさんの方が関わっているのですが、
私たちあきばこ家は玄関から中庭に向かう通り土間の補修と、
玄関横の小さな庭を第二の玄関としてリノベ―ジョンする工事を担当させていただきました。
まず初めに取り掛かったのは、通り土間の補修です。
既存の土間は割れてしまっていたので、ガンコマサという水で固まる土と御影石風のタイルで新しい土間面をつくりました。ガンコマサが上手く固まらず苦労したのですがなんとか形にすることができました。
次にいよいよ庭づくりです。
元々は坪庭として利用されていたのですが今回オーナ様はスタッフやアーティストの方などの玄関として使いたいとのことでした。
改修前は大きな石が地中に埋まっており施工が困難かと思われました。
でも悩んでもしょうがない!
まず作り始めたのが掃き出し窓横のウッドデッキです。
初期案ではアールのかかったデッキを考えていたのですが、通り土間の工事をしている間にアールの部分に室外機が置かれてしまったり、既存の踏石が重すぎて動かせなかったりと様々な問題に対して検討を重ねた結果、最終的にデッキの一部を階段状にして吐き出し窓から中に入れるような案に落ち着きました。検討を重ねただけあって、施工はかなりスムーズに進みました。7月半ばの猛暑の中でしたが、1,2回生も手伝いに来てくれて、スポーツドリンクと塩キャンディを摂りながら完成させたのはいい思い出です。
次に取りかかったのが室外機目隠しの格子です。
この格子は初期案では作る予定ではなかったのですが、室外機が置かれたことで
「このまま丸見えだと見栄えが悪いよね…」という話になり、
格子を立てて目隠しをすることになりました。
実はこの目隠しの設計・施工が一番苦労したところでもあります。
当初は格子の収まりや、格子を支える基礎・土台の部分の検討が足りず、設計担当と施工担当で何度も話し合いながら案を詰めていきました。
施工でも検討不足だった箇所で何度も問題が起こり、そのたびにホームセンターまで自転車をとばしたり、暗くなるまで柱を立てたりと全員必死でした。
格子を取り付ける柱が建った時、今まで図面上で四角い線でしかなかったものがこうして自分たちの手で実際に立ち上がったことにとても感動したのを覚えています。
「柱が建つっていうのはこんなにすごいことだったんだ。」と思えたのは、
実際に自分たちで考え抜いて作ったからこそだと感じました。
最後に、庭の造成と庭石の配置です。
前述したとおり、この庭は第二の玄関として使われる予定なのですが
既存の状態では、庭の地面の高さが玄関土間の高さより19cmほど低く段差ができてしまっていました。
そこに通り土間でもつかったガンコマサの上位互換であるスーパーガンコマサという土を敷き詰めてなだらかな斜面上の地面を作ることになりました。
通り土間でのガンコマサ施工の反省点を活かし、ホームセンターの漬物石を使って転圧ローラーを自作しました。このローラーでしっかりと土を押し固めたおかげで綺麗に出来上がりました。
庭石は設計担当が何度も現場に赴いて石の形や大きさ、置いた時の見え方などを考えながら最終的な配置を決めていきました。排水管も掘り起こして付け直し、排水がスムーズに行えるよう改善しました。
最後に玉砂利をひいて完成です。
完成した庭を見ていただき、オーナー様に喜んでいただくことができました。
工務店さんや、知り合いの造園家さん、茶吉庵カフェ(ゆくるカフェ)の店主さん、あきばこ家顧問の寺川先生など様々な方々に助けられながらのプロジェクトでした。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
最後に、私達あきばこ家に大切な資産を託してくださったオーナー様、
学生故の至らぬ点もありご迷惑もおかけしましたが、学生にとって糧となる貴重な体験をさせていただけました。大変ありがとうございました。